10月5日、水道橋博士さんのYouTubeチャンネル『水道橋博士の異常な対談〜Dr.Strangetalk〜』では、鈴木おさむさんをゲストに迎え、現代のテレビ業界における意識の変化についてたっぷりと語りました。普段は語られることの少ない、貴重な業界裏話は必見です。
(画像:時事通信フォト)
■ブスいじり、タブー?
現在、自身も在籍したことがあった明治学院大学にて非常勤講師を勤める鈴木さんは、講義の中で学生たちに、「なぜテレビ業界で笑いの感覚が変わってきたか」ということに関するアンケートを行ったそうです。
そこでわかったことについて、鈴木さんは「いじめがダメとか、そういうことがもう本当に、教育されてるんですって。僕らのときって、そういうの無かったじゃないですか。けど今は、きちんと教育されているから、テレビを見ていても(差別的、暴力的なシーンが)痛々しく感じるらしいですよ」と語ります。
これを受けて水道橋さんも、「例えばツービートは、"ブスいじめ"で出てきたんですよ。ブス漫才をやって、笑っている客席を指さして『そこ、笑えるか?』って言ってドカンとウケる。今、それをやっても絶対にウケないと思いますよ」と語りました。
またここから、鈴木さんが自身の新婚生活を赤裸々に綴った大ヒット作『ブスの瞳に恋してる』の話題に。
水道橋さんが、「例えば、今の時代に『ブスの瞳に恋してる』って言っても、ちょっと引かれる可能性ありますよね」と話題を振ります。
鈴木さんは、「一昨年、FODで(ドラマを)リメイクしたんですけど、結構叩かれましたね。(内容を)見てもらえれば、別にそこ(容姿)をバカにした話じゃないってわかるんですけど、『ブス』という表現で分けている(差別化している)ってことが、一昨年の時点でも叩かれたんで…タイトルが。ギリギリだったと思います。今やるんだったら、タイトル変更になるんじゃないですかね」と明かしていました。
■笑いと女性差別に大きな壁…鈴木「気持ち悪さを前提とした女子」はネタに出来ない時代
また、鈴木さんから「漫才では、女の人の容姿イジリ的な展開って、結構あるじゃないですか。それが、コントも含めてめちゃくちゃ大変だ、っていう話になって」「女装した女の人を『気持ち悪い!』みたいな設定で扱うコントって、定番じゃないですか。でも、それを演じてるのは女性だから、そのコントって、今後どうなるんだろうね? って(芸人の間で)話してたんですよ」という話が出てきます。
これに対し水道橋さんが、「コントやる人間は、全員それやるよね。今はもう、もしかしたらダメかもな…。だって、気持ち悪さを前提としてるから」とコメントすると、鈴木さんも「そう。気持ち悪さを前提とした女子、という設定で扱うので、ネタ番組って今後、(女性への差別表現と捉えられる)とんでもない壁にぶつかるんじゃないか、って思うんです」と話していました。
一方の水道橋さんも、今年、自身の番組で女性アイドルグループJuice=Juiceのメンバーと共演した際、「こんな美人なのに、これだけ読書してるのかっていうのに驚いて。『想像力の翼をもっと広げてほしい』って話したんだけど、美人は読書しなくていい、みたいなことで(誤解をされて)叩かれて。『女性差別主義者』って肩書まで付けられてましたよ」と、自虐的に語っていました。
■鈴木、『妻』という呼び方を褒められる?
さらに、身近なところでは「『嫁』って言うと、最近怒られるでしょ?『女』に『家』(で差別的)だからだって。あと、『家内』もダメだって」と水道橋さんが投げかけると、鈴木さんは「僕は昔から『妻』って言うんですけど、『妻って(表現の仕方が)いいですよね』って褒められることが多かったんです」と語っていました。
このほかにも、鈴木さんが制作・演出を手掛けた新作舞台の話や、さまざまな作品を通しての付き合いが長いという、田中圭さんとのエピソードなども語られ、かなり見応えのある内容となっていました。
お笑い業界に見る女性差別問題について、二人の話を聞いていると、いざテレビ番組を観るときの見方も変わってくるのではないでしょうか。
【番組情報】
水道橋博士の異常な対談〜Dr.Strangetalk〜
https://youtu.be/WDKKj3lHvdU
(文:くる美/編:おとなカワイイwebマガジンCOCONUTS編集部)