新海誠『君の名は。』大ヒットで感じた"息苦しさ"を告白 #NEWS23 出演が話題

投稿日:2019/09/06 13:38 更新日:

9月4日放送の「NEWS23」(TBS系)では、メインキャスター・小川彩佳さんと、アニメーション映画「天気の子」が大ヒット上映中の新海誠監督との対談が実現。作品に込めたメッセージや、「君の名は。」で感じた息苦しさついて語る新海監督の言葉が話題を集めました。

新海誠が語る「天気の子」の雨の描写に込めた意味とは?

新海監督の「天気の子」では、雨が降り注ぐ世界が描かれます。この描写に込めた意味について問われると、新海監督は「昨今の温暖化による気候変動や局地的な豪雨に見舞われる現実社会を投影したもの」であることを明かします。

劇中の叩きつけるような雨の描写について、小川さんが「時代の必要以上に叩かれたりする時代の空気を反映したものでは?」と聞くと、新海監督は「アニメーションの中で描くものはなにかの比喩だったりする。人の願いや思いは誰かが制限できるわけではない。でもSNSのような、『私はいま怒っている』みたいな感情が全部透明になってしまうと『内心の自由』まで侵されているような気持ちになる」とコメント。

新海監督は「内心の自由」が侵されるという言葉を使いましたが、SNSが普及して誰もが簡単に世界に向けて言葉を発信できる世界ならではの窮屈さをわかりやすく表現していて、なるほどと感じた人も多かったのではないでしょうか。

「君の名は。」の大ヒットで感じた新海誠の息苦しさとは?

新海監督が「息苦しさを感じた」と語るのが、記録的な大ヒットが記憶に新しい前作「君の名は。」。

災害から地球を守る主人公たちの姿を描く物語に対して、「災害というものを利用してエンターテイメントの装置に利用しちゃうの?」という批判の声が上がったことにふれる新海監督。

作品に込めたテーマ「願いや祈りの結晶」を語った上で、批判に対して「願うことを叱られた、息苦しさや反発のようなものが『天気の子』につながっている」と明かします。

そして「現実の世界では炎上してしまうような言葉でも、エンターテイメント映画の中では叫ばせることができる。『天気の子』の中での少年の叫びはある意味では僕自身の叫び」とコメント。

新海監督の言葉には、成功したがゆえの自身の苦しさを登場人物の叫びという形で代弁させるという、クリエイターならではの葛藤を感じさせます。

『天気の子』を「許しの物語」と語る理由とは?

最後、新海監督に「『天気の子』とはどのような映画だった?」という質問が飛ぶと、「『許しの物語』と言えるかもしれません。間違いを裁くことは必要なことだけど、同時に許してあげることも必要。『君が何を叫んだとしても、僕が君の大丈夫になるから。横にいるよ』と言ってくれる人が誰の目の前にもいてほしいと思う」とコメント。

作品の根底には「許し物語」というテーマがあり、賛否があるかもしれませんが、そうしたテーマを頭に入れて見るとまた違った印象を作品に抱くかもしれませんね。

「天気の子」について語る新海誠の言葉に反響

ネット上では、放送を見た人から「『天気の子』で創作活動というものは現実ではあまり声を大にして言えない事を叫ぶ場だという考えを貫き通した新海監督の勇気と芯の強さに感動しました」「NEWS23のインタビューを観た!新海監督が 天気の子 に込めた願いや意図が、これまでになく深く語られていて、じーんときました」「新海監督の言葉選びが好きすぎるこんな落ち着きがあって一つ一つに丁寧に話せる素敵な大人になりたい」などの声が上がりました。

最新作に込めた思いや「君の名は。」の批判に対する葛藤について、言葉を吟味して語る新海監督の姿が印象的でした。

新海監督の口から作品のテーマが聞けた興味深い放送回だったのではないでしょうか。

(文:かんだがわのぞみ)

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