NHK連続テレビ小説「まんぷく」の最終回が3月30日に放送されました。最終回では、完成した「まんぷくヌードル」を歩行者天国で試食販売会をおこなう模様が描かれる一方で、「あさま山荘事件」について描かれなかった事に疑問の声も上がっています。
最終回を迎えた朝ドラ「まんぷく」
連続テレビ小説 まんぷく を応援して下さった皆さま、
半年間ありがとうございました。テレビの前の皆さまとまんぷくを通して様々な感情を共有したり、一緒に楽しむことができたら、、と、そんな目標をもって日々撮影をしていました。→→→ pic.twitter.com/VcnTI3qWnR— 安藤サクラ (@sakura_ando) 2019年3月30日
画期的な新商品「まんぷくヌードル」が完成するも、値段の高さがネックとなり売り上げは不振。そうした中、立花福子(安藤サクラ)は夫・萬平(長谷川博己)に「まんぷくヌードル」の価値を理解できるのは頭の柔らかい若者達という言葉を伝えます。
妻の言葉にヒントを得た萬平は、大勢の若者が集まる歩行者天国で、社運をかけたヌードルの大試食販売会をする事を決断。幸いにも歩行者天国での試食販売会は好評で、萬平が社運をかけて開発した「カップ麺」という新ジャルは若者に受け入れられ、物語はハッピーエンドの結末を迎えました。
「あさま山荘事件」が描かれなかった事に疑問の声?
おかげさまでカップヌードルは発売から48年。「正座で食事」の時代に、歩行者天国で若者たちに「食べ歩き」させて、大人たちに「けしからん」と怒られたんだよなぁ。思えばここからずう~っと僕たちは「けしからん」なんだなぁ・・・ pic.twitter.com/GR0K8EyFAo
— カップヌードル (@cupnoodle_jp) 2019年3月29日
「まんぷく」のモデルになったのは、「チキンラーメン」「カップヌードル」の開発者として有名な安藤百福夫妻。ドラマの中で登場する「まんぷくヌードル」のモデルになったのはもちろん「カップヌードル」です。作品の中では反響が大きかった歩行者天国での試食販売、自動販売機での販売、地道な営業など、安藤氏達が実際に行った事が描かれました。
一方で、安藤氏が自伝で「カップヌードルは火がついたように売れ出し、生産が追いつかなくなった」と書いた事でも有名な「あさま山荘事件」がドラマの劇中で登場しませんでした。「あさま山荘事件」は、連合赤軍がが長野県軽井沢町にあった河合楽器の保養所「あさま山荘」に人質をとって立てこもり籠城した事件。事件が起きたのは2月で、極寒の地で機動隊員に振舞われた「カップヌードル」を食べる様子がテレビで放送され、これを機に「カップヌードル」の知名度が飛躍的に上昇したと言われています。
そうした事もあって、ネットでは「あさま山荘事件」のニュースに映ったことがきっかけというエピソードについて「本当に全然触れないの?」など疑問の声が上がる形になりました。過去に放送された同じく安藤氏の業績を描くNHKのドキュメンタリーでは、「あさま山荘事件」と「カップヌードル」の関係性について触れる部分がありました。
「あさま山荘事件」を描かないのは朝ドラの性格上仕方ないという意見も
ただし、朝ドラという性格上、「歩行者天国で良かったと思うあれで幸せな最終回になったんだもの」「あさま山荘、書かれなかったとは言っても、まんぷくの世界観にあの感じはどうかなあ、と思うし、それでいいと思う」「いいじゃん、ハッピーエンドで」など、仕方ないと考える人も多かったようです。
どこまで史実に忠実にすべきかの判断は難しいようですが、朝ドラとしてつくられ、特に「まんぷく」は、主要キャラが死なないなど全体的に明るいトーンの作品。むしろ、歩行者天国のラストシーンでみんなハッピーエンドで結末を迎えたのは、作品の性格上は正しい選択だったのかもしれません。また、ドラマ全体の感想としては、安藤氏の有名な「即席麺」開発に至るまでの挫折が丁寧が描かれるのが印象的。様々な困難の乗り越えた末に生涯の仕事「ラーメン作り」に行き着く部分のカタルシスが抜群でした。(文:かんだがわのぞみ)