直木賞作家・西加奈子さんの短編小説『サムのこと』『猿に会う』の2作が、遠藤さくらさん、賀喜遥香さんら乃木坂46の4期生メンバー主演でドラマ化(各4話 dTVにて配信中)され、話題になっています。
どちらも著者が「過去の自分にしか書くことができなかった」とふり返る、作家デビュー初期(2004年/2009年)の短編です。
ドラマ化を手掛けた2名の監督
ドラマでは、「Laundry」「重力ピエロ」など数々の映画作品を手掛けてきた森淳一監督が『サムのこと』を演出。新解釈で乃木坂46の4期生たちがこれから歩むであろう道のりとリンクさせました。
「僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46」の高橋栄樹監督がメガホンをとった『猿に会う』は、先行き不透明な人生の葛藤を映し出したロードムービーに仕上がっています。
先日YouTubeでdTVドラマ『サムのこと』『猿に会う』のトレーラー映像
「サムのこと/猿に会う SPECIAL Ver.」https://youtu.be/EfYBItxbZLgが公開されました。
■『サムのこと』と『猿に会う』はこれまで別々の刊行物に収録されていましたが、今回、同じくデビュー間もない頃の短編『泣く女』と合わせて一冊になりました。
【STORY】
『サムのこと』
‹‹午後から雨になった。東海道五十三次の絵なんかに出てきそうな、斜めに降る、細い細い雨だ。››
そんな書き出しから始まるそぼふる雨のなか。
様々なことが定まらない、二十代男女5人が、突然の死を迎えた仲間の通夜に向かう。
『猿に会う』
‹‹やっぱり、誰かひとりでも仕事をしていたら、こういうことは出来ない。私たちは改めて、自分たちの境遇の有難さを思った。››
二十代半ばの、少し端っこを生きている仲良し女子3人組が温泉旅行で、「あるもの」にたどり着くまでを描く。
『泣く女』
‹‹ふたりで初めてのナンパもしてみたかったし、出来ることなら、お酒も呑んでみたかった。それが青森、それも、山と海しか見えないローカル線、自分たち以外には、爺さんがひとり乗っているだけだ。››
県大会の決勝まで行き、ふたりの夏は終わった。
小説家志望の野球部の友人と、なぜか太宰治の生家を訪ねることになった高校生男子が、そのまま足を伸ばした竜飛岬で、静かに佇む女性に出会う。
人生の踊り場のようなふとした隙間に訪れる、「何かが動く」ような瞬間を捉えた初期3作を新たに編んだ短編集です。
【書籍情報】
『サムのこと 猿に会う』
著/西 加奈子
定価:本体490円+税
判型/頁:文庫判/192頁
ISBN978-4-09-406755-2
小学館より発売中
©西加奈子・小学館/エイベックス通信放送