日本最大級のライフサービスプラットフォームを展開するシェアリングテクノロジー株式会社は、全国から寄せられたゴキブリ駆除相談に関するデータ4,365件をもとに実態を調査しました。
これからの時期、各ご家庭にとって脅威となる存在といえば「ゴキブリ」です。シェアテクに寄せられた相談の中には「ゴキブリを部屋の中で見つけて、怖くて家に入れない……」という悲痛なお声も届いています。
そこで今回は、全国の相談者のデータからゴキブリの被害実態を調査しましたのでレポートします。
1.ゴキブリがもっとも活発になるのは「7月」
はじめに「2015年5月~2018年4月」の3年間で、どの月がもっともゴキブリ駆除の相談が多かったのかを集計しました。
その結果、「7月」が「832件」ともっとも相談件数が多く、同時に「12月~2月」の真冬の時期であっても平均して「88.6件/月」の相談があったことがわかりました。
表1・月別のゴキブリ駆除相談件数
1月・・・94件(2.2%)
2月・・・83件(1.9%)
3月・・・157件(3.6%)
4月・・・242件(5.5%)
5月・・・393件(9.0%)
6月・・・541件(12.4%)
7月・・・832件(19.1%)
8月・・・751件(17.2%)
9月・・・613件(14.0%)
10月・・・395件(9.0%)
11月・・・175件(4.0%)
12月・・・89件(2.0%)
(シェアテクに寄せられたデータに基づく。調査年月:2015年5月~2018年4月、4,365件)
上表を見ると、暖かい季節になるにしたがって相談件数が増加しているのがわかります。亜熱帯で活動する害虫であるゴキブリにとって、温暖な気候は生きるのに適した環境です。ですが、もっとも暑くなる8月よりも、なぜ7月の相談件数の方が多かったのでしょうか。
要因としては、日本でよく見られるチャバネゴキブリの習性が考えられます。チャバネゴキブリの適温は「25℃」とされており、全国的にこの適温にもっとも近い気温になるのが7月なのです。
【真冬にもゴキブリは出る】
一方割合こそ低いですが、12~2月にもゴキブリの駆除相談が発生していることもわかります。たとえば1月は全国的に厳しい冷え込みとなることが多いのですが、それでも「94件」のゴキブリ駆除の相談が寄せられました。
これは暖房器具の使用が原因と考えられます。暖房によって温められた環境はゴキブリにとって住みよい環境であり、寒い野外からゴキブリが侵入してくることがあるのです。また近年では床暖房をはじめとする断熱リフォームも普及していますが、人間が冬でも快適に過ごせる技術はゴキブリにとっても同じであることを見落としてはなりません。
2.日本でもっともゴキブリが発生しやすいのは「東京都」
続いて4,365件のゴキブリ駆除相談のデータから、どの都道府県がもっともゴキブリが出やすいかを調査しました。各都道府県の10万世帯あたりの相談件数を割り出し、ランキング化したものが下表です。
表2・県別のゴキブリ相談件数
(シェアテクに寄せられたデータに基づく。調査年月:2015年5月~2018年4月、4,365件)
調査の結果「東京都」、「沖縄県」、そして「富山県」がゴキブリの出やすい都道府県TOP3であることが明らかとなりました。ゴキブリは亜熱帯に生息する虫なので、温暖な環境である沖縄県が2位にランクインするのは想像に難くありません。
また、東京都がトップなのは人口密集度やゴミ排出量に関連していると考えられます。同じように人口密集度やゴミ排出量が多い愛知県(4位)、神奈川県(6位)、大阪府(10位)が上位にランクインしています。
では、どうして富山県が第3位にランクインしているのでしょうか。
【富山県が3位のワケ】
なぜ富山県にゴキブリが出やすいのか、それは富山県の気候に関係がありそうです。実は富山県は、湿度が非常に高いという特徴があるのです。
空気中に含むことができる最大限の水分量に比べて今の空気がどれ程の水分を含んでいるかを示す値を「相対湿度」といいますが、気象庁のデータによれば、1981~2010年における富山県の年間相対湿度は「77%」と、沖縄県の「74%」より高いのです。
ゴキブリは湿気の多い場所を好むという特徴があります。多湿な富山県の気候は、ゴキブリが生息するのに非常に適した環境となっているのです。
【真冬の北海道でもゴキブリは出る】
ランキング下位のゴキブリが出にくい県は北海道と東北地方に位置する県となっています。チャバネゴキブリはマイナス5℃に一日中さらされると死亡するほか、クロゴキブリも17℃以下の環境では動きが鈍るので、やはり寒い地域ではゴキブリは生きづらいことがわかります。
ですが相談件数がゼロではないというのも事実です。北海道では真冬の12月~2月間でも駆除相談が「7件」あり、そのうち3件は道庁所在地である「札幌市」からのものでした。
「北海道にゴキブリはいない」という通説がありますが、今回の調査では真冬の北海道でもゴキブリの相談が発生していることがわかりました。
3.ゴキブリの目撃は「キッチン」が最多
続いて、相談者が「ゴキブリを発見した場所」について調査しました。その結果が下表です。
表3・発見場所別のゴキブリ駆除相談件数
エアコン・・・5件(5.1%)
キッチン・・・38件(38.4%)
風呂場・・・9件(9.1%)
玄関・・・3件(3.0%)
リビング・・・12件(12.1%)
ベランダ・・・2件(2.0%)
洗面所・・・2件(2.0%)
トイレ・・・3件(3.0%)
家全体・・・10件(10.1%)
その他・・・15件(15.2%)
(シェアテクに寄せられた発見場所が判明しているデータ99件に基づく)
キッチン、風呂場、洗面所、トイレといった「水回り」でゴキブリを発見したケースは、全体の「52.5%」と半数を占めています。とくに水回りの中でもキッチンが「38.4%」とずば抜けて多い結果となりました。
水回りにゴキブリが出やすいのは、「水」に原因があります。小さな虫から手垢まで何でも食べるゴキブリですが、水分を摂取しないと脱水症状になって死んでしまいます。そのため、ゴキブリたちは水を求めて水回りに現れます。もちろんキッチンは食べ残しなどの食料が豊富にありますし、またお風呂場や洗面所も人間の垢や髪の毛が付着しているので、エサも食べられて水分も補給でき、一石二鳥というわけです。
【ゴキブリは瞬く間に増えていく】
また、ゴキブリの発生場所として、「家全体」が「10.1%」と全体の1割を占めることも注目に値します。ゴキブリは非常に繁殖力が強い害虫なので、いつの間にか家中にゴキブリが棲みついてしまった、ということも十分考えられます。
ゴキブリは「卵鞘(らんしょう)」と呼ばれる卵が入ったカプセルを複数回に分けて産みます。この卵鞘には数十匹もの幼虫の卵が入っており、これをクロゴキブリは16~20回、チャバネゴキブリは3~7回も産むのです。
また、クロゴキブリの寿命は長くて1年半ほどある一方で、チャバネゴキブリの寿命は5ヵ月ほどと非常に短いです。ですがチャバネゴキブリは約1ヵ月で成虫になるほか、卵鞘に入っている卵の数も約40個と多いので、どんどん個体数は増えていってしまいます。
そのため、ゴキブリは1匹からでも爆発的に繁殖し、あっという間に家全体を住処にしてしまうのです。もし家中にゴキブリが出るようになったら、家の一部をゴキブリ対策するのではなく、家全体を対策する必要があります。
4.ただ不快なだけではない、ゴキブリがもたらす「害」
害虫には見た目が不快な「不快害虫」、感染症の原因になる「衛生害虫」、物品に被害を与える「経済害虫」の3種類に分けることができますが、ゴキブリはこれらすべてに属しているのです。もしゴキブリを放置しておくと、どのような悪影響が出てくるのでしょうか。
【ゴキブリがもたらす害】
ゴキブリは掃除されていない家具の裏側をはじめ、不衛生な場所を移動している場合が多いです。そのため食中毒を引き起こす「サルモネラ菌」や赤痢の原因になる「赤痢菌」などの病原体を所有しており、人間が感染する危険度を高めてしまうのです。
また、ゴキブリはどんな狭いすきまにも入り込むことができるので、熱を発している家電の内部に侵入して暖を取る場合があります。このとき電子基盤にゴキブリが触れると漏電の原因になり、家電の故障をはじめ、最悪の場合火事になってしまうことさえあるのです。
もちろん見た目の印象も最悪であり、もし飲食店で発生したらそのお店のイメージを大幅にダウンさせてしまいます。
こうしたさまざまな害を起こすゴキブリは、見かけたら早め早めに駆除しなければならない害虫なのです。
【ゴキブリ駆除に有効な対策とは?】
最後に、家中にゴキブリが発生するまえの予防策をご紹介しておきます。
まず家の中に侵入してくるゴキブリ対策ですが、ゴキブリはわずかなすきまでも侵入できます。夏は窓を開けることが多くなりますが、網戸が破れている場合は新しいものに張り替え、網戸とサッシの間にすきまがある場合は「すきまテープ」などでこまめに塞ぐことも大切です。
また、家の中に侵入しているゴキブリ対策として、もっとも気をつけたいのが「生ゴミ」です。生ゴミを捨てるゴミ箱は密閉できるふた付きのものを選び、生ゴミを入れるゴミ袋はすきまができないように固く結びましょう。
これからの季節はゴキブリが本格的に活性化する時期です。ゴキブリ対策は「キッチン」を中心に「増えない・侵入できない・越冬できない」環境作りを目指しましょう。
▼同調査の結果ページ
https://www.seikatsu110.jp/vermin/vr_cockroach/97660/